憲法記念日におもう  戦争は最大の人権侵害

2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻が始まりました。無差別攻撃により多くの尊い命や暮らし、希望が奪われ、その悲しみや苦しみは想像を絶します。私たち人間は、どうしたら争いを止めることができるのでしょうか。

武力はNO!
外交努力を止めないで!
 戦争の悲劇を二度と繰り返さないという反省から国連が設立され、国際秩序を構築してきましたが、残念ながら地球上では、紛争や内戦がなくなりません。今回のロシアによるウクライナへの侵攻は、明らかにプーチン政権による侵略戦争ですが、チェルノブイリ原子力発電所を占拠し、核兵器を使うかもしれないと脅すロシアに対し、アメリカやNATO(北大西洋条約機構)は、直接介入を回避し、経済制裁を強めています。第三次世界大戦の引き金にもなりかねない、非常に厳しい緊迫した情勢です。
日本でも、周辺各国と並んで、ロシアへの経済制裁やウクライナからの避難民の受入れなど行なっていますが、あらためて明確に言えるのは、武力では何の解決にもならず、エスカレートするばかりだということです。為政者の過信や独裁によって始める戦争の犠牲になるのは、いつも、ただただ平和を願う市民です。どんなことがあっても戦争回避のための外交努力をあきらめてはなりません。

理想と言われようが
平和への希求を!
 日本では、この時とばかりに 、アメリカの核兵器を同盟国で共有する核共有や憲法改正が取りざたされていますが、核の非道な脅威を知っている日本だからこそ、核保有国にも働きかけ、核のない世界へと導く役割があります。もしロシアが本当に核兵器を使用することがあれば、最悪の世界戦争になるでしょう。奇しくもロシアが核廃絶の重要性を示しました。
また、自民党の改憲案には、「緊急事態条項の創設」「9条への自衛隊の明記」が含まれています。緊急事態条項は、戦争や災害などの非常時に、全権限を内閣に集中させようというもので、私たちの自由や権利が脅かされる危険があります。また、自衛隊の明記は、戦争放棄をうたう9条とは相反するものです。
時の権力者が暴走しないように、どんな権力者であっても犯すことができないルールが憲法です。そして、平和の維持には、不断の努力が必要です。日頃から、私たち国民が政治への関心を持ち、忖度のない独裁を許さない政治、そして、人権や多様性を大事にした地球にも人にも優しい社会を足元から広げていくことが肝心です。

ウクライナではこれまでにない情報戦が展開されていますが、ロシアでは、情報統制が行われ、都合の悪い報道や市民の声を封じているということです。勇気をもって「戦争反対」の声をあげたロシア国民の命は守られているのでしょうか。戦争は最大の人権侵害です。ロシアに対して軍事行動をただちに中止し、ウクライナから撤退するよう強く求めます。
同時に、日本政府は、軍事侵攻には毅然とした態度で臨みつつ、武力によらない紛争解決を宣言する憲法にそった平和的解決を訴えることを求めます。