介護の社会化を後退させない

「介護の社会化」を掲げて介護保険制度が始まって23年。改正のたびに介護者へのサービスは削減され続けています。特に、介護が必要となる一番の要因とされる認知症は、症状や進行は人それぞれで日によって状態も異なりますが介護ヘルパーをはじめとする専門職による適切な支援により、自分の力を活かして、よりよく生きる可能性を探っていくことができます。しかし、現在の介護保険制度では、身体機能に問題がなければ介護度は低くなり、使えるサービスも時間も限られます。特にSOSが出しにくい初期の頃にこそ必要なサービス充分に受けられる制度へと見直す必要がありますまた、認知症の人の声を丁寧にきき、参加や仕事の場を一緒につくり上げていく取組みが注目されています。認知症の理解をひろげ、誰もが自分事として考えられるまちづくりを地域から進めていきます。

一方で、介護ヘルパーやケアマネジャーの人材不足は深刻です。このまま何の対策もしなければ、制度があってもサービスが使えない、そんな事態が現実味を帯びてきます国では2024年制度改正に向けた議論が続いていますが、賃金や介護報酬の大幅な増額喫緊に取組むべき課題です。介護保険料と公費財源内訳を見直し、税金を多く投入するなど抜本的な改革が必要と考えます。現場の危機感を共有しながら、介護の社会化をすすめる施策を提案し続けます。

学習会「介護保険の危機 超高齢社会をどう支えるか」にて 講師はNPO法人暮らしネットえん代表理事 小島美里さん