介護保険制度の大転換 地域包括ケアシステム~地域ぐるみの支えあいをめざして~
2015年の介護保険制度改正では、有資格のケア者が介護度の重い方々のケアに専念するため、要支援1・2の訪問介護や通所介護は、介護保険給付から各自治体による地域支援事業に移行することになりました。国分寺市では、2017年度から移行する予定ですが、今後は、可能な限り住民主体のサービスを提供することが求められます。新たな制度や国分寺市の現状を市民にわかりやすく発信し、これからの高齢社会にどのように向き合うのか、市民合意を図ることが必要です。
- 多様な主体がサービス提供
市は、有資格者が担ってきた要支援者への予防訪問介護を、市独自の研修受講者や住民主体の団体が行えるよう、新たなサービス体系を検討しています。要支援者のケアプラン分析によると、約95%を掃除や買い物等の家事援助がしめています。今後は、介護保険給付では提供できなかった「ごみ出し」や「電球の取り替え」など、ちょっとしたサービスも可能になる予定です。サービスの内容が増えることで、利用者一人ひとりに寄り添った対応が可能になります。
- 予防通所介護では…
市の調査から、要支援者のデイサービスの利用率は伸びており、介護予防を目的に、運動機能の向上、他者との交流や社会参加が進んでいることがわかります。一方、各自治体の裁量によるサービス単価の設定となるため、自治体によっては、経営難により撤退する小規模な事業所もあるとのことです。地域に根ざした活動が継続できるような検討が必要です。
- 地域活動の充実とゆるやかな見守りを
高齢になっても、社会から孤立しないために、元気なうちから仲間をつくることは重要です。地域では、食事会や健康体操、サロンなど、様々な市民の活動が展開されています。社会参加の割合が高い地域ほど、転倒や認知症、うつのリスクが低いと言われていますが、デイサービスだけではない参加の場を、高齢者自らが選択できるように、わかりやすく情報を発信する必要があります。
また、居場所などを市民の手でつくろうとする時、課題となるのが活動場所の確保です。公共施設、既存の各種施設や空き家、個人宅等、積極的に開放していただける仕組みづくりが急がれます。地域にゆるやかな見守りのしくみがあることで、お互いが安心して暮らせるまちになると考えます。
- 次期介護保険制度~2018年~2020年~改正に向けて
国では、財政支出の抑制のために、要介護1、2の生活援助サービスや福祉用具貸与等までも保険給付から外す方向で検討してきました。対象者には、認知症の方も多く、生活援助サービスは、重度化の予防につながっています。これらを給付から外すことは、高齢者の在宅生活を脅かすばかりでなく、将来的な給付費用の増大につながると考え、生活者ネットワークは、これまで通り、介護保険給付を行うことを求めてきました。
10月になって、「厚生労働省は、要介護1、2の生活援助サービスを、介護保険給付から外すことは見送るものの、事業者に対する報酬を引き下げ、介護福祉士以外が生活援助を担うことで、人件費を抑えるように検討する」との新聞報道がありました。サービスを提供する介護事業者に負担を押し付けることは、ひいては、市民へのサービス低下につながります。決してあってはならない非常に重大な問題だと考えます。