高次脳機能障害は、脳の損傷により、考える・覚える・判断する・行う・話す・集中することが難しくなり、生活に支障をきたす状態をいいます。原因としては、脳卒中が80%、交通事故などの頭部外傷が20%だといわれています。もっと理解を深めたいと思い、9月17日(土)にボランティア活動センターこくぶんじと高次脳機能障害者の会メビウスのWAの共催で開催された学習会「高次脳機能障害ってなんだろう?〜地域で共に支えあうために〜」に参加しました。
最初にメビウスのWAのメンバーによるハンドベルでのウエルカム演奏を楽しませていただきました。透きとおった音色が心に響きます。
南雲 健吾氏(リハビリ企画合同会社代表/言語聴覚士/理学療法士)の「高次脳機能障害について」の講演では、脳を理解することから始まり、症状と対応の例を具体的にあげながらわかりやすくお話しくださいました。
例えば、56.1%の方に現れるという失語。聴く、話す、読む、書くことが難しくなり、話しの意味が理解できなかったり、思っていることと違った言葉がでてしまう、また、字が書けなくなる、間違った字を書いてしまうことがあるそうです。しかし、まわりの人が、ゆっくり、わかりやすく、短い言葉で具体的に話し、また、「はい」「いいえ」と簡単にこたえられるように質問をする、ジェスチャー、メモ、イラストを使うなど、工夫することで、コミュニケーションの意欲を高めることができるとのことです。
この障がいは、外からはわかりにくいため、「見えない障がい」といわれ、本人も症状に気がつかないことがあるそうです。また、脳が損傷されたことにより、心身ともに疲れやすくなり、症状の現れ方は、時間帯、疲労、環境、状況に影響されるのだということを伺いました。
障がいがあっても地域で自分らしく暮らすためには、地域や周りの人が、まずは、障がいを理解し、相手の状況を想像しながら、ゆったりとした気持ちで接していくことが必要です。そのためには、周りの人自身の気持ちも安定させることが大切です。
当事者の方からは、交通事故で脳に損傷を受け、それまでは当たり前にできていたことができなくなったことへの戸惑いやできなくなった機能をカバーする対策をしながら、ご家族や周りの方に支えられ明るくがんばっていらっしゃる様子に、こちらが元気をいただきました。また、ご家族の方からは、障がいのある子どものおかげで、優しい気持ちになることができ、人として大切なものをたくさん与えてもらった、と本当にそのことが伝わってくるお話しを聞かせていただきました。人に優しさやあたたかさを向けられる人って本当にすごいと思います。「あせらず、あわてず、あきらめず!」との言葉には、ハッとさせられました。
あらためて、誰もが暮らしやすいまちをつくっていきたい!そんなあつい思いになって会場を後にしました。